「OMSやWMSってよく聞くけど、何が違うの?」
「うちの規模で本当に必要?」
そんな疑問を持つスタートアップ担当者は少なくありません。

EC事業が成長するにつれ、注文数や在庫量が増加し、
受注や出荷業務はどんどん複雑になります。

このままシステムを導入せずに効率化を図らなければ、ミスや遅延が増え、
結果的に“顧客満足度の低下”“売上機会損失”につながる恐れがあります。

今回は、物流や受注処理を効率化する代表的なシステムである「WMS」と「OMS」の違い、
スタートアップに合った導入のポイントを具体例を交えてわかりやすく解説します。

【1】 WMSとOMSの役割の違い


物流システムを選ぶうえで、WMSとOMSの役割を理解しておくことは非常に重要です。

どちらも商品の出荷に関わる重要なシステムですが、
担当する業務や機能には大きな違いがあります。

それぞれの特徴を押さえることで、自社にとって本当に必要なシステムが見えてきます。
ここでは、WMSとOMSがどのような仕事を担っているのか、具体的に整理してみましょう。

■ WMSとOMSの違い

システム名 主な役割 担当範囲 主な機能
OMS(受注管理システム) 受注〜出荷指示までの情報をまとめて管理 カート/モール/卸からの注文、顧客管理など ・注文情報の自動取込
・顧客データベース
・売上管理
・請求書発行
・配送業者連携
WMS(倉庫管理システム) 在庫・ロケーション・出荷作業を効率化 倉庫内作業、在庫管理、出荷スキャンなど ・在庫ロケーション管理
・入出庫管理
・ピッキングリスト生成
・在庫数量管理

💡 OMSとは:「誰が何を買ったか」の処理を行います。
       各注文を正確に管理し、出荷指示をWMSへ送るシステムです。

💡 WMSとは:「どこに商品があり、どう出荷するか」を管理します。
       受け取った出荷指示に従い、在庫場所を把握して効率よく出荷作業を行えます。

【2】 導入の目安は“業務の複雑さと負荷”で見る


導入時期の目安として「月商◯万円を超えたら必要」と言われることもありますが、
実際には出荷件数や作業の煩雑さで判断することが適切です。

以下の表で、システム導入を検討すべきサインを確認してみましょう。

■ 導入タイミングの具体例

観点 OMSの導入目安 WMSの導入目安 具体例
作業ミス 発送漏れ、重複対応が増えてきた ピッキング、出荷ミスが月に数回ある ・注文重複で二重発送トラブル
・誤った商品を送りクレームに発展
業務の複雑さ 予約注文、定期便など個別対応が多い 在庫棚が増え、場所管理が難しい ・定期購入の注文管理が混乱している
・倉庫内で商品を見つけにくい
販売チャネル モール、カート、卸など販売チャネルが複数ある 各モールの在庫状況をアナログで管理している ・受注情報の確認に手間がかかる
・在庫反映でズレが発生
担当者の負荷 受注処理や顧客対応が一人に集中している 倉庫作業が属人化していてブラックボックス化 ・休暇時に出荷遅延が発生する
・特定の人しか場所がわからない
在庫の正確性 注文在庫数と実在庫数がよくズレる 棚卸し時の在庫差異が大きい ・在庫ズレで注文キャンセルが多発
・販売済みの商品が在庫に残っていない

こうした導入の目安に心当たりがあれば、今の運用を見直すタイミングかもしれません。

システムを導入することで、ミスや属人化のリスクを減らすことができ、
誰が担当してもスムーズに回る仕組みは、事業の成長を支える大切な土台になります。

まずは、どこに負荷やボトルネックがあるのか、整理してみることをおすすめします。

【3】 スタートアップでの段階的導入のすすめ


物流システムは一度にすべてを導入するとコストや手間がかかるため、
特に、スタートアップの段階では慎重になる必要があります。

無理に多機能を詰め込むと運用が複雑になり、
かえって現場が混乱して効率が下がることもあります。

そこでおすすめしたいのが、必要な部分から“段階的に導入”していく方法です。

事業の成長に合わせてシステムを整備すれば、
無駄を減らしながら効率的に業務を改善することができます。

① OMS(受注管理)導入からスタート
➡ 複数チャネルでの販売で注文管理が煩雑になったときに効果的です。

🎯 メリット
📌 注文データの自動集約で手入力ミスが減る
📌 顧客情報を一括管理でき、マーケティングにも活用可能
📌 在庫の一元管理により、モールへの反映がスムーズ

📚 デメリット
📌 システム連携の初期設定に手間がかかる
📌 小規模時は機能が多く、使いこなせない場合も

② 次にWMS(倉庫管理)の導入を検討
➡ 在庫数が増え、倉庫作業の効率化が課題になった時点で導入しましょう。

🎯 メリット
📌 在庫ロケーション管理でピッキング作業を標準化
📌 バーコードスキャンで誤出荷を減らせる
📌 商品の入出庫履歴が可視化され管理精度が向上

📚 デメリット
📌 倉庫内のレイアウト見直しが必要な場合がある
📌 現場スタッフの操作習熟に時間がかかることも

💡 ポイント
OMSとWMSのどちらか一方だけでは真価を発揮しにくいため、
必要に応じて段階的に導入していくことがカギになります。

受注管理(OMS)で正確な出荷指示を行い、
倉庫管理(WMS)で効率よく作業を進めることで、
スムーズな受注から発送までの流れが完成します。

【4】 OMS・WMS主要サービスの比較ポイント


システム選びでは、機能だけでなくサポート体制や使い勝手も重要な判断材料です。

業務フローや今後の成長計画に沿った運用ができるかも忘れずに検討してください。

以下の比較表で、主要なOMS・WMSサービスの特徴を参考に、
自社の課題や規模に合うシステムがどれなのかチェックしてみましょう。

■ 主要なOMS一覧

システム名 初期費用 月額料金 特徴
NEXT ENGINE 無料 3,000円
+従量課金制
業界シェアNO.1。基幹システムや各種決済サービスと連携可能
CROSS MALL 無料 10,000円~ セット管理等も可能な在庫管理機能を持つ一元管理システム
GoQsystem 0円~100,000円 0円~64,800円 楽天市場との連携に特化したシステムが魅力の一元管理システム
TEMPOSTAR 無料 定額プラン 55,000円~
従量プラン 1件5.5円~
多店舗展開に特化した機能が特徴
定額プランと従量プランを選べる
助ネコ 30,000円 2,100円~
+従量課金制
シンプルで使いやすいシステム、素早いサポートが特徴

※2025年7月時点

■ 主要なWMS一覧

システム名 初期費用 月額料金 特徴
ロジザードZERO 要問合せ 要問合せ 業界シェアNO.1。
365日対応のサポートが魅力
AirLogi 35,000円 10,000円~ 移動距離削減などの生産性向上機能を備えたシステム
COOOLA 要問合せ 要問合せ AIでの人員最適化やピッキング効率を算出する機能がある
EZLOGI 無料 要問合せ 使いやすく直感的に操作でき、各種カートとも連動
LOGILESS 無料 20,000円
+従量課金制
OMS・WMS一体型の代名詞ともいえるシステム
mylogi 無料 15,000~30,000円 小規模スタートアップでも安心なOMS・WMS一体型のシステム
SLIMS 要問合せ 150,000円~ デジタル技術とも連携可能で使い勝手の良いシステム

※2025年7月時点

自社の事業フェーズや扱う商品特性によって、
必要となる機能やサポート体制も異なります。

できれば無料トライアルやデモを活用しながら、
✅ 現場で本当に使いやすいか
✅ 既存の業務にフィットするか
といった観点で、慎重に比較・検討してみてください。

【5】 まとめ:現状の課題から優先順位をつけて導入を


WMSとOMSは、それぞれ異なる役割を持ちながら、
EC事業の受注から出荷までの流れを支える欠かせないシステムです。

しかし、すべてを一度に導入すれば良いわけではありません。

事業の規模や業務内容に応じて、
必要なタイミングで必要な機能を取り入れていくことが、長期的な成功につながります。

とくにスタートアップや成長初期の段階では、
「今一番の課題は何か」を明確にしたうえで、優先順位をつけた段階的な導入が重要です。

例えば、注文処理に時間や手間がかかっているならOMSの導入を優先し、
倉庫内の在庫管理や作業効率に問題があればWMSの導入を検討しましょう。

また、OMSとWMSを連携して使うことで、
より効率的でミスの少ない業務フローをつくれます。

今の運用が「属人的で人に頼っていないか」や、
「ミスが起こりやすい仕組みになっていないか」を定期的に見直し、
未来の成長に耐えられる体制づくりを進めていきましょう。

段階的かつ計画的なシステム導入で、
事業のスムーズな成長を支える物流基盤を整えていくことが大切です。