「この商品、どの箱を使えばいいの?」「見栄えもコストも妥協したくない」──
そんな悩みを抱えるEC・物流担当者は少なくありません。

商品を安全・効率的に届けるために欠かせない“ダンボール”

実は、ダンボールは“ただの箱”ではなく、商品を守る、
ブランドを伝える、そして経費を左右する重要な戦略ツールです。

しかし、一口にダンボールと言っても、そのバリエーションは実に多彩です。

この記事では、商品に合った「最適なダンボール」を選ぶために、
構造・素材・形状・用途までわかりやすく解説します。

【1】ダンボールの「構造」を知る


ダンボールは、波型の中芯(フルート)をライナーと呼ばれる平らな紙で挟んだ3層構造が基本です。

フルートの種類によって、強度や緩衝性は大きく異なってきます。

たとえば、重たい精密機器を送るのに、薄手のダンボールでは不安ですし、
軽い小物に分厚い箱を使うのは送料のムダになります。

そこで、まずは主要なフルートの種類を押さえておきましょう。

■ フルートの種類と特徴

重視すべきは、「商品重量」と「配送環境」。

衝撃が気になるならAフルートやWフルート、
印刷や見た目を大切にするならEフルートが適しています。

【2】表面材(ライナー)の種類


見落とされがちですが、ダンボールの“表面の紙(ライナー)”にも違いがあります。

ライナーとは、波形の中芯を挟む外側の紙のこと。
表面の素材によって、強度や見た目の印象、印刷のクオリティまで変わってきます。

■ ライナーの種類と特徴

とくにブランディングを意識する商品では、
「白ライナー+Eフルート」の組み合わせが多く選ばれています。

ダンボール表面の美しさは、開封時の印象を大きく左右します。

【3】ダンボールの形状と構造


梱包作業や商品形状に合わせて、箱の“形状”も選ぶべき要素です。
梱包現場では、「組み立てやすさ」「開封のしやすさ」なども効率化のカギになります。

■ A式(みかん箱タイプ)


上下にフタを折り返してテープ留めする基本型。
汎用性が高く、最も一般的な形状です。
サイズ展開も豊富でコストも低く、様々な商材に対応できる万能型です。

➡ おすすめ : 書類・衣類・雑貨など、梱包のしやすさ重視の商品に

■ B式(ワンタッチ底タイプ)


組み立て時に自動で底が固定される構造で、
テープ留めが不要なため作業時間を短縮でき、出荷の多い事業者向き。
ただし、底の強度はA式よりも劣るため、軽量な商品に適しています。

➡ おすすめ : 化粧品・アクセサリー・軽量日用品など

■ N式(筒型・差し込み式)


フタと本体が一体となった差し込みタイプの構造で、
ギフトや販促品、軽量雑貨などに多く使われる形状です。
外装に美しく印刷できることや、組み立てやすさに加え、
内容物に応じたサイズ設計や内装加工がしやすい点から、
ブランド品や化粧品などの高付加価値商材との相性が抜群です。

➡ おすすめ : コスメ、アパレル小物、スイーツ、サブスクBOXなど

■ タトウ式(封筒型)


一枚の板紙を折って包み込むような構造。緩衝材不要でスリムな配送が可能です。
平たい商品の梱包に適しており、厚さ制限のある配送(ネコポス・ゆうパケットなど)にも便利です。

➡ おすすめ : Tシャツ・パンフレット・サンプル・ノベルティ・単品発送など

【4】商品別「最適な組み合わせ」はこれ!


ここまで見てきた「構造 × 表面材 × 形状」を、
実際の商材別にどう組み合わせるべきか整理してみましょう。

🧴 日用雑貨・小物・食品

🔵 箱タイプ : A式
🔵 フルート : Wフルート
🔵 ポイント : 最も汎用的で広く使われている形状。重量物や複数商品の梱包にも最適。

🛍 ギフト商品(化粧品・焼き菓子など)

🔵 箱タイプ : N式/C式
🔵 フルート : Bフルート/Eフルート
🔵 ポイント : 高級感ある白ライナー+印刷対応でブランディング

👚 アパレル(Tシャツ・シャツなど)

🔵 箱タイプ : A式/タトウ式/B式
🔵 フルート : Bフルート/Eフルート
🔵 ポイント : シワ防止と省スペースの両立が重要

📚 書類・書籍

🔵 箱タイプ : N式/タトウ式/A式
🔵 フルート : Bフルート
🔵 ポイント : フィット感と作業性、コストのバランスがカギ


✅ 商品にぴったりのダンボールを選ぶことで、
  破損トラブルの削減・送料の最適化・ブランド価値の向上をすべて実現できます。

【5】 よくある失敗と対策


間違った箱選びが原因で、配送トラブルが起きてしまうケースも少なくありません。
そこで、現場でありがちな失敗例と、その解決策をご紹介します。

❌ 商品が破損した
原因 : 強度不足、または緩衝材不足
対策 : フルートの再選定や内部クッション、緩衝材の見直し

❌ 梱包作業が遅い
原因 : 複雑な構造のダンボールにより、作業効率が低下
対策 : B式やワンタッチ式ダンボールで時短設計を検討

❌ 送料が高い
原因 : サイズオーバーなダンボールや、余分に緩衝材を入れるスペースがある
対策 : 薄型ダンボールやピッタリ設計のダンボールを採用し、コスト削減

❌ 見栄えが悪い
原因 : 印刷・表面材への配慮不足
対策 : 白ライナーやEフルートの印刷対応したダンボールへ切り替え

【6】 まとめ


ダンボールは、ただ商品を「運ぶ」ための道具ではありません。
コストを抑え、作業を効率化し、開封時のブランド体験を演出する、総合的な戦略資材です。

商品ジャンルや出荷スタイルに応じて、
形状・厚み・素材を組み合わせ、最適な梱包を設計しましょう。

「ただの箱」と侮らず、ぜひこの機会に、見直してみてはいかがでしょうか?