「ECカートって何を基準に選べばいいかわからない」
そんな声を、日々多くの現場で耳にします。
実際、ネットショップを始める方の多くがこの“最初の一歩”でつまずいてしまうのです。

ECカートはたしかに種類が多く、選び方も一見むずかしく見えます。
ですが、ひとつひとつ要素を分解して見ていくことで、自社に合った選び方が見えてきます。

今回は、「はじめてECに取り組む方」にもやさしく、
また「すでに運営中の方」にも発見があるような視点で、
ECカートの基礎から導入のヒント、そして注意すべき落とし穴までをお届けします。

【1】 ECカートって、そもそもなに?


ECカートとは、インターネット上で商品を購入する際に利用するシステムのことです。
実店舗で例えるなら、「ショッピングカート」や「レジ」の役割をオンライン上で担っています。

たとえば、気になる商品を「カートに入れる」ボタンを押したり、
名前や住所、支払い方法を入力して注文を確定する――
この一連の流れをスムーズにしてくれるのが、ECカートの仕組みです。

顧客にとっては「使いやすさ」、店舗にとっては「売れやすさ」につながる、
ネットショップ運営には欠かせない、大切な基盤です。

【2】 ECカートの基本&拡張機能


ECカートには、「あって当然」と思われがちな基本機能と、
「あるととても便利」な拡張機能があります。

どの機能が必要かは、扱う商品や販売スタイルに合わせて検討しましょう。

⚙ 標準機能(一例)

🔵 商品登録 :商品の詳細情報を商品ページに表示(名前、説明、価格、画像、在庫数など)
🔵 カート機能:顧客が商品を選んでカートに入れる
🔵 決済機能 :支払い方法を選択する(クレジットカード、コンビニ、PayPay など)
🔵 注文管理 :受注処理・配送管理・発送処理(出荷通知、送り状発行 など)
🔵 顧客管理 :顧客情報の登録・購入履歴の確認・会員管理(マイページ対応 など)
🔵 販促機能 :クーポンの発行・ポイントの付与・レビュー機能 など

🔧 拡張機能(一例)

🔵 定期購入機能:毎月や毎週など、決まった周期で商品を自動的に届ける仕組み
🔵 法人向け機能:企業顧客に向けた価格設定や、見積書・請求書の発行などに対応
🔵 販促連携機能:LINEやSNS広告、メルマガなどを使って、リピーターを増やす仕組み
🔵 おすすめ機能:購入顧客の行動に合わせて商品をおすすめする仕組み
🔵 海外販売対応:英語や他の言語で商品を表示したり、海外にも配送できるようにする機能

➡ 見るべきポイント

カートによっては「初期費用は安いけど、欲しい機能は全部オプション」というケースも。
予算だけでなく、運用に必要な“工数”や“自社リソース”も含めて判断しましょう。

【3】 ECカートの導入方式と選び方のポイント


ECカートの導入方式にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。

自社のビジネスモデルや運用体制に合った方式を選ぶことが、スムーズなECサイト運営の第一歩。
ここでは代表的な導入方式の違いを比較し、選ぶ際のポイントを分かりやすくまとめました。

 ■ カート導入方式別の特徴比較

 ■ 主要ECカートサービスの比較


 ■ こんな企業におすすめ

🔵 スモールスタート・副業EC  : ASP型(BASE、カラーミーショップなど)
🔵 中堅企業でしっかり運営   : makeshop、Shopify Plus などのパッケージ型
🔵 独自仕様・越境展開を見据える: オープンソース型やPaaS型(Magento、CS-CART など)

選ぶ際には、「いま」の要件だけでなく、
「数年後、どの機能が必要になるのか」という視点も持つことが重要です。

【4】 ECカート選びの“3つの視点”


① ターゲットとする顧客像
・BtoCなら:スマホ最適化/SNS連携/レビュー/ポイント重視
・BtoBなら:見積機能/法人アカウント管理/一括注文対応

② 商品特性との相性
・カスタマイズ可能商品(名入れ/カラー選択など)
・単品リピート or バリエーション商品(例:食品・コスメ)
・サブスクリプション型か、単発販売か

③ 業務フロー全体との接続性
・倉庫や送り状システムとの連携
・売上レポート、会計システムへの取り込み
・マーケティング(CRM)施策との連携性

システムを“導入すること”が目的ではなく、“業務を回すこと”が目的。
だからこそ、社内のフローや体制との相性を丁寧に見極めましょう。

【5】 よくある失敗とその回避策


カート選びの段階で、見落とされがちな“落とし穴”もあります。

❌ 失敗例
・費用の安さだけで選んで、機能不足に悩む
・社内の運用体制と合わず、結局使いこなせない
・拡張や連携ができず、リニューアルを余儀なくされる

✅ 回避するには?
・機能一覧だけでなく「実際の画面・管理画面の使いやすさ」を確認する
・自社の商品ジャンルや運営体制をふまえてシナリオで考える
・サポート体制(有人チャット、マニュアル、導入サポート)も比較する

選定時に「要件整理表」などを作成することで、客観的に判断できます。

【6】 最後に:カートは「ブランド体験の入り口」


私たちがよくお伝えするのは、
ECカートは、“ただ商品を売る場所”ではなく、“ブランド体験を届ける場所” であるということ。

✅ 商品が探しやすいUIはあるか?
✅ 購入完了までのストレスはないか?
✅ 顧客との関係性をどう築けるか?

選ぶべきは、「いま欲しい機能がそろっているカート」ではなく、
「未来のビジネスを支えてくれるカート」です。

ECの土台づくりを、焦らず丁寧に。一緒に最適な選択を見つけていきましょう。